母子感染

クラミジアに感染した妊婦とその胎児への影響は

1:妊娠中のクラミジアの危険性

性病の中には、妊娠中に感染してしまうと胎盤を伝わって胎児にも感染してしまう胎内感染が起こるものがあります。しかしクラミジアの場合には、胎内感染する心配はないので、妊婦の感染がお腹の中の赤ちゃんにマイナスの影響が出たり、先天性異常が起こる心配はありません。出産までに治療をすれば赤ちゃんは問題なく自然分娩で出産することができます。

 

クラミジアはセックスによって感染する性病です。妊娠した時には感染していなくても、妊娠期間中にパートナーとのセックスで感染してしまうリスクはゼロとは限りませんよね。例えば、妊娠してから夫婦でセックスをしなくなってしまい、性欲のはけ口を失ってしまったパートナーが風俗に行くという話は、よくあります。風俗で働く人は性病にかかるリスクはとても高いですし、自覚症状が起こりにくいクラミジアの場合には、感染していることを知らずに接客してしまうこともあるものです。そのため、風俗に行って性病に感染し、それを知らずに妊娠中の妻とセックスをしてうつしてしまうということは、決して珍しいことではないのです。

 

2:妊婦検診でわかる

クラミジアに感染した状態のまま赤ちゃんを出産することは、母子感染のリスクが高くなるので危険です。そのため、妊婦検診では、感染の疑いがある人もない人も、全員が妊娠30週までに性病検査を受けることになります。ただし、検診とは別に検査してもらう事ももちろんできます。妊娠したばかりの初期検診で感染していることが分かれば、すぐに内服薬で治療を始めることができますし、クラミジアの治療は1週間~2週間程度とそれほど期間が長くかかるわけではないので、出産までに完治することは十分に可能ですよね。また、妊娠中に感染してしまった場合でも、出産が近くなってからでも検査してもらう事はできるので、出産前に発見することはできます。出産前に見つけてしっかりと治療しておくことが、元気で健康な赤ちゃんを産むためには必要な対策なのです。

 

3:胎児への影響

妊娠中にクラミジアに感染した場合、胎盤を通しての胎内感染の心配はありません。しかし、出産時に母子感染するリスクがあるため、分娩までにしっかりと完治しておくことが必要です。もしも妊娠中に感染したことに気づかないまま出産してしまうと、膣の中を通ってくる際に赤ちゃんに感染するリスクが高くなり、肺炎や結膜炎、気管支炎などのトラブルを抱えることになります。確率としては、クラミジア感染による赤ちゃんの結膜炎が起こる可能性は18%~50%程度、肺炎を患ってしまう確率は3%~18%程度となります。また、出産の際に感染してしまった赤ちゃんの場合、1歳ぐらいになると赤ちゃんの気道から病原体が検出される確率は50%にもなり、慢性的な気管支炎を起こす子が多くなってしまいます。

 

クラミジアは性病ですが、しっかりと治療を受ければ1週間~2週間程度で完治できる疾患です。妊娠に気づく前でも気づいた後でも、治療を始めるのに遅すぎるということはありませんし、妊娠中でもエリスロマイシンやクラリスロマイシンなど胎児に影響がない薬剤を使って治療を受けることができます。もしも不安な人は、産婦人科で検査を受けてみてはいかがでしょうか。もしも感染して放置してしまうと、感染が卵管などにも広がってしまい、将来の不妊を引き起こす原因にもなりますし、流産のリスクも高くなってしまいます。

 

4:流産のリスク

妊娠する前にクラミジアに感染したり、妊娠初期に感染してしまうと、母体は流産のリスクが高くなってしまいます。感染すると、子宮頚管がまず炎症を起こし、そこから病原体が子宮の中を通って卵管あたりまで広がってしまいます。感染した場所は炎症が起こるため、器官同士が癒着したりして長期的にも大きなトラブルの原因となりますし、妊娠が成立しても子宮の中で受精卵を包んでいる羊膜や絨毛膜も感染して炎症してしまうと、それ以上の妊娠を継続することが難しくなり、受精卵は破裂してしまいます。それが流産を引き起こしてしまうのです。

 

妊娠中に感染しても、流産のリスクが高くなります。この場合にも、羊膜や絨毛膜などが炎症を起こすと妊娠の継続が難しくなってしまい、子宮が内部の異物を押し出そうと子宮収縮が起こり、陣痛が始まります。生まれてきても大丈夫な週数なら早産になりますが、低体重児として生まれることは避けられないでしょう。また、胎児がまだ生まれる準備ができていない状態で陣痛が始まってしまうと、流産という悲しい結果となってしまいます。

 

こうした妊婦さんの流産リスクを避けるために、近年では妊娠初期と後期に1回ずつクラミジア検査を行う病院が増えています。妊婦検診はきちんと定期的に受けて、万が一の感染では早期発見と早期治療をすることが、健康で元気な赤ちゃんを産むための対策となります。

クラミジアの感染経路

クラミジアは日本国内に見られる性病の中では、最も感染者数が多い疾患です。しかし、自覚症状が起こりにくいため、自分が感染していることに気づかないまま放置してしまったり、異性とセックスをして感染させてしまうなど、拡散しやすい性病としても知られています。この疾患は、クラミジア・トラコマチスという病原体によって感染し、粘膜にこの病原体がつくことによってうつるという特徴があります。一般的にはセックスをすることによってうつるのですが、アナルセックスやオーラルセックス、またはキスをしてもうつる事があり、必ずしも性行為をしなければうつらないというわけではありません。フェラチオやクンニだけでもうつる可能性は十分にあるのです。あらゆる性行為が感染経路となるリスクを持っています。

 

感染経路は誰もが気になるところですが、一般的にはクラミジアは男性なら尿道、女性なら膣に感染します。しかし、セックスの中では粘膜同士が触れ合ったり、精液や膣分泌液などが粘膜に接触する行為をするため、必ずしも尿道と膣にしか感染しないというわけではありません。また、一度感染すると放置しても自然治癒することはなく、少しずつ感染エリアが拡大して他の炎症系疾患を引き起こすこともあるため、気を付けなければいけません。例えば男性の場合には、尿道に感染するとまず尿道炎や精巣上体炎が起こり、放置すると炎症が広がって前立腺炎や血清液症が起こりやすくなります。女性の場合には、子宮の入り口となる子宮頚管が炎症を起こし、炎症が卵管まで広がると卵管炎を起こしたり、骨盤や腹腔内にまで広がってしまうこともあります。

 

しかし、クラミジアが感染する場所は他にもあります。例えばオーラルセックスをすれば喉に感染することもありますし、精液や膣分泌液が目に付着すると、目が感染してしまうこともあるのです。粘膜ならどこでも感染するリスクはあるので、性器周辺でないから大丈夫だと安心することはできません。

 

性病の一般的な感染経路は性行為ですが、クラミジアの場合には母子感染するリスクもあります。性病の中には、妊娠中にママさんが感染すると胎盤を介して羊水に病原体が入り込み、胎内感染してしまうリスクがある疾患がありますが、クラミジアの場合には胎内感染の心配はありません。そのため、妊娠中に感染して気づかないまま放置したとしても、出産前に治療ができれば胎児への影響はないということです。

 

マタニティ検診では、クラミジアなどの性病に感染していないかの検査を行うため、もしも妊娠前に感染していた場合には、最初の検査ではっきりと判明できますし、適切な治療を受けることが可能です。しかし、妊娠した時には感染していなくても妊娠中に感染することもあり、出産前に適切な治療を行わないまま分娩してしまうケースもあるでしょう。この疾患は分娩時に母子感染を起こすという特徴があり、治療をしないまま出産してしまうと、病原体に感染した膣を胎児は通り抜けて生まれてくるため、生まれたばかりの新生児が感染するリスクが高くなります。

 

具体的に新生児にどのような症状が起こるかというと、クラミジア性結膜炎にかかってしまうリスクは全体の18%~50%、クラミジア肺炎にかかるリスクは全体の3%~18%で、体が小さく生まれたばかりの赤ちゃんにとっては命の危険もあるわけです。また、母子感染すると赤ちゃんの体内にも病原体がすみつき、赤ちゃんが1歳ぐらいになると体内から病原体が検出できるようになります。母子感染によって慢性的な気管支炎を患ってしまう赤ちゃんも多いため、できるだけ出産前にこうした性病は治療することが必要です。

 

妊娠中の性病治療というと、胎児への影響が心配ですよね。母子感染を防ぐための治療には、クラリスロマイシンやエリスロマイシンなどの薬や使われることが多く、適切な治療を行うことによって母子感染を2%程度まで軽減できます。また、出産前に治療が終了しない場合には、自然分娩ではなく帝王切開による出産が選択されることもあります。妊娠が分かった初期の段階で病院を受診すると、マタニティ検診の一環として性病検査を行うため、もしも妊娠前にかかっている場合にはすぐに治療を始めることができるでしょう。しかし、妊娠中、しかも出産が間近に迫ってからの感染では気づかないまま分娩してしまうケースが多いため、パートナーとの性行為でもクラミジアへの感染リスクがゼロでないことはあらかじめ理解しておきましょう。妻が妊娠中に風俗に行き、そこでパートナーがクラミジアに感染してしまい、気づかないまま妻とセックスをして妊娠中に感染してしまうというケースがあるので、性病についてのリスクは、夫婦できちんと話し合っておきたいものです。また、性病検査キットなどはネットで気軽に購入できるので、妊娠中にはパートナーと一緒に検査をしてみるのも予防法や対策となります。